●都内で相次ぎ福祉運営協

 都内で福祉有償運送運営協議会が相次ぎ立ち上がっている。先月28日に大田区、良く29日に豊島区で相次ぎ設置、道路運送法80条許可申請を希望する7団体が事業概要を説明した。同30日には練馬区運営協が幹事会を開催、新たに5団体が80条許可申請を表明したほか、区側がタクシー業界の協力で独自の運転者研修制度を導入する旨を提案、了承された。2種免許を持たないNPOボランティアの運転者研修でタクシーの協力を仰ぎ自治体主宰で実施するケースは同区が初めてとなる。また練馬区は有償運送ガイドラインでうたった「タクシー運賃の2分の1ルール」を再検討、区のタタキ台を提示することも表明した。

タク業界協力し運転者研修

 練馬区は協議会の効率運営から幹事会で実質審議しており、この日2回目の幹事会では80条許可申請を希望するNPO5団体が事業概要を説明した。5団体は@わかばリフトバスの会(4台、会員772人)Aともに生きる(5台、同40人)B腎臓病連絡協議会すずらんの会(24台、同45人)C難病者移送サービス・ネットワーク(10台、同83人)D通院移送センタータンポポ(5台、同67人)。

 この日の論議で@料金改定の取り扱いをどうするかAタクシー運賃の2分の1ルールを整理し直し、板橋区などの動きも参考に区のタタキ台を策定する。B健常者がケガをした場合の一時的移動制約者の取り扱いをどうするかCセダンの持ち込み車両の管理徹底D運転者の点呼をどう徹底するか−が出され、区ないしは運営協で検討することにした。

 運転者研修については練馬区が05〜06年度に支援、07年度以降から各団体が主体的に研修できることを目指す。研修支援対象は80条許可を得た有償運送団体に登録された運転者で2種免許を持たない者90人と同免許保持者25人。研修時間は1かい半日程度で、安全運転、移送サービス、介助について議論し、移動サービス市民活動全国ネットワーク発行のテキストを使う。

 研修内容については練馬区移動サービス連絡会移動サービス研修プロジェクトが@移動サービス(必修)A安全運転講習(同)B路上走行教習Cマネジメント−を組み合わせ実施すると報告した。

3団体が申請希望

 豊島区では、会長に山田稔氏(茨城大学工学部助教授)、副会長に若林弘司氏(管理調整課長)を選任。委員にはタクシーから渋谷博文氏(宮園自動車)、山下晴樹氏(全自交東京地連)、ボランティア団体から菊池秀雄NPOいきがい安心の会副理事長、利用者代表で真鍋雅則豊島区肢体不自由児者を育てる会会長が参加。

 80条許可申請を希望したのは@豊島区社会福祉協議会(5台、会員292人)ANPOシステム・ハーイ(6台、同410人)BNPOクローバー(1台、同30人)――の3団体。会員数374人、年間利用3万2330人、所有車両18台を抱えるNPOゆきわりそうシステム・レッツゴーは4条限定許可申請の準備をしており、運営協の審議対象にならないと報告があった。

移動制約者の潜在需要大

既設NPO4団体申請へ

 先月28日の大田区運営協では、会長に北川博巳氏(東京都老人総合研究所)、副会長に金澤彰氏(区保健福祉部長)を選任。委員はタクシーから久保田真光氏(全国福祉輸送サービス協会、日立自交)、山下晴樹氏(全自交東京地連)、NPOから坂口郁子氏(たすけあい大田はせさんず)、石川みのり氏(サポートぱんぷきん)、東運支局の小林利弘・輸送課旅客2係長が参加。

 同区の報告では、要介護認定者や障害者などの移動制約者は4万1228人で人口の6.1%を占める。これに対し、リフト付きタクシー登録者は889人、福祉タクシー券受給者は8629人にとどまり、「公共交通機関以外に手軽に利用できる移動手段があれば外出できる障害者や高齢者が潜在している」としている。
 同区はセダン特区を申請中で、同じく申請している小金井市が傍聴参加した。

 80条許可申請を希望した4団体はいずれも既設のNPOで申請を承認された。4団体は@たすけあい大田はせさんず(2台)Aサポートぱんぷきん(4台)Bハンディホイラーの会(1台)Cピーターパン(1台)。

東京交通新聞 2005.7.4(月)