●介護保険改革アンケート 2885首長が回答

 対象年齢の拡大 賛否は

都市部で減る「賛成」 制度への評価とも関連

 現在40歳以上が加入している介護保険制度の被保険者の年齢を引き下げ、障害者福祉と統合する案の賛否は、制度を運営している市区町村の人口規模で分析すると違いが出てくる。

 5千〜1万人未満(694)、1万〜10万人未満(1303)、10万〜30万人未満(166)、では反対が賛成を上回り、5千人未満(601)と30万人以上(74)では賛成が反対を上回っている。

 その他を選んだ市区町村長は規模が大きくなると増え、10万人以上30万人未満では35%、30万人以上では6割近くに達している。それに伴って、都市部ほど賛成の比率が減っていく。

 また、介護保険と障害者支援費制度に対する評価と、統合案への賛否の関係を見ると、介護保険を評価している市区町村長では賛成が42%、反対が46%で、支援費を評価している人では賛成が45%、反対が43%だった。これに対して、介護保険を評価できないとした人では統合賛成が33%、反対が63%で、支援費制度を評価できないとした人でも賛成が37%、反対が54%と、現行制度を評価しない人は、統合案にも反対する傾向がある。

 統合案に賛成する首長(知事を含む)に、統合後の新しい制度のスタートはいつがいいか聞いたところ、06年度からが40%、09年度からが48%で、12年度以降は7%だった。

 65歳以上の介護保険料は3年に1度改定されていて、03年度大幅に引き上げた自治体に早期開始への期待感が強い。昨年、基準月額で1千円以上(全国平均は382円)上げた自治体は145のうち、49%が06年度開始を望んでおり、介護保険財政や高齢者の負担増への危機感が、統合案賛成の背景にあるようだ。

 被保険者の範囲を何歳まで広げるかでは、20歳以上が46%と最多で、30歳以上も33%合った。

 統合で新しく制度に加入する40歳未満の保険料については、現在の40〜64歳の被保険者(本人負担は平均で月約1700円)の半額程度が47%、同額が33%だった。

朝日新聞 2004.7.26(月)