●長期的視野でも議論

  杉並区福祉運営協が始動

 東京都杉並区は3日、福祉有償運送運営協議会を設置、タクシーとNPOボランティアによるケア輸送対策の議論を始めた。都内単独設置は世田谷、練馬、板橋に継ぎ4つ目。道路運送法80条の許可取得問題だけでなく、区内の移動制約車の輸送をどうするか、長期的な視野からも議論することで一致した。

 会長に高橋万由美・宇都宮大学教育学部助教授、副会長に長田斎・杉並区保健福祉部管理課長を選任。タク業界から杉山錬秀・杉並交通専務、長田寿夫・東京ハイタク労働6団体事務局長、NPO等から小林三重子・地域ささえ愛グループ萩の会代表、黒澤良次・友愛の灯協会ハンディキャブ事業事務局長、樋口蓉子・NPOおでかけサービス杉並理事長が参加。有馬実義・東京運輸支局輸送課長、秋山哲男・首都大学東京大学院教授、高橋博・杉並区障害者団体連合会会長も参加した。

 杉並区の移動制約者等の報告では、一般タクシーが年約25万5000件、福祉タクシーが同1550件、患者限定が同8000件、NPO等9団体が道1万1000件を輸送。移動制約者などは約2万5000人。「1人月2回しか外出しておらず、供給量が全然足りない状況」(管理課)とした。

 秋山教授は「財源の確立を含めタクシー会社が新しい商品の開発に取り組んでほしい」と提案。杉山杉並交通専務は「区の契約を開放し、やる気のある会社を呼び競争させてほしい」と求めた。小林英雄保健福祉部長は「発想をかえて来年度に向かいたい。区としても新しい仕組みを創出するつもりで議論したい」と前向きの姿勢を示した。

東京交通新聞 2005.6.6(月)