●料金「総額方式」は否定

  タク運賃換算表目安に

 福祉有償運送の「運送の対価」(タクシー運賃のおおむね2分の1以内)を判断する基準を検討している東京都練馬区の福祉有償運送運営協議会・幹事会(座長・吉本卓裕保健福祉部管理課長)は25日、「判断を運営協に委ねる」との国土交通省回答を踏まえて試案を検討した結果、一定期間のNPOの運行実績をもとに想定料金表で換算し総額を比較する「総額方式」による判断方式に賛同がなく、距離制タクシー運賃との換算表を目安に個別審査する方向が打ち出された。

 これに先立ち、練馬区は国交省に@「おおむね2分の1」の解釈で「距離や時間によっては2分の1以上である場合もありうる」かどうかA判断方法として一定のNPOの運行実績をタクシー利用に替えた場合の料金と比較検討してよいかBその判断方法は運営協に委ねられていると考えてよいか――を照会。

練馬福祉有償運営協幹事会

 これに対し、国交省は11日付で佐藤宏幸自交局旅客課新輸送サービス対策室長名で「運送の対価が実質的に営利に至らない範囲であると運営協議会の理解が得られればよい」「比較検討方法および具体的な数値基準などについて運営協議会で妥当であるとの合意がなされれば、そのように取り扱って差し支えない」などと回答、判断を運営協に委ねた。

 25日の運営協幹事会では、国交省の回答を報告した上で、前回議論した判断基準の修正案として@距離制タクシーと2分の1料金との比較表A時間制同運賃との比較表B乗合料金の考え方――が提示された。

 これに対し、タクシー関係委員から「練馬区は先進的な取り組みをしているわけだが、東京の事例は地方に波及し影響も大きい。国交省のガイドラインを重視すべきで総額方式の判断には反対だ。距離制タクシーの換算表は細かく問題もあるが、これを目安に個別に申請を審査するほうがよい」(佐藤雅一日立自交第二社長)などの意見が出た。総額方式だと、極端に近距離を高く遠距離を安く設定し総額平均で2分の1に収めるやり方ができるなど悪用のおそれがあるとの考えだ。NPOからも総額方式には賛同もなく、換算表はあくまで目安として活用する方向が強まった。

 時間制運賃は23区内法人タクシーに実態がないことなどから保留となり、乗合料金と合わせ、9月12日開催の運営協で改めて議論することになった。

東京交通新聞 2005.8.29(月)