●会期延長で慎重審議へ

  障害者自立支援法案 当事者の不安根強く

 障害者自立支援法案の国会審議はいったん休止の状況だが、十九日までの会期を延長することで慎重審議に入る見通しとなった。障害者団体から相次いでいる不安が解消されないままでは採決できないとの考えから、今後与野党で修正に向けた水面下の協議が行われると見られる。再会のスケジュールはいぜん不透明だが、七月三日の東京都議会議員選挙が終わるまで“難題”は後回しになる模様だ(十五日現在)。

 法案審議が休止の状況となったのは、郵政民営化法案をめぐって国会が混乱したため。また、応益負担の問題を始め障害者から批判・不安があまりに強く、早々に採決するわけにはいかないとの認識が与野党ともに高まったため。与党内にも都議選を控え、反対の強い法案審議は先延ばししたいとの見方がある。

 ただ、最も早いものでは今年十月から段階的に施行する予定の法案なだけに、成立が遅れれば準備に影響が出かねない。審議状況によっては法案修正の可能性もあり、今後のスケジュールは不確定だ。

 そうした中、厚生労働省は、九日に法の施行準備にかかわる手続きについて地方自治体へ説明する障害保健福祉関係主管課長会議を、十日に社会保障審議会障害者部会を開いた。

 課長会議の冒頭、塩田幸雄・障害保健福祉部長は「法案は国会会議を延長して審議し、慎重に論点を整理する。与野党で修正協議をすることになろうが、どこで合意するかの調整は微妙だ」と見通しを語ったほか、省としては利用者負担のさらなる激変緩和などが検討課題とした。

 また、社保審障害者都会では「政令や省令の案はいつ示されたのか」との委員からの質問に、村木厚子・企画課長が「法が成立して初めて部会で議論できるものだが、成立がいつになるかは未定」と答えた。

骨太の方針案に障害福祉に配慮

厚労省が要請

 一方、経済財政諮問会議が十三日まとめた「骨田の方針二〇〇五」の原案には、障害者の自立を支援するため、サービスの適切な確保とその利用者負担に関する低所得者への適切な配慮をはかるとともに、重度の障害者を含めた、地域における多様な雇用・就労の場や生活の場の確保など、地域おける就労・生活支援のハード・ソフトの基盤を速やかかつ計画的に充実強化する」との項目が新たに盛り込まれた。

 九日の課長会議で塩田部長は「現在取りまとめ中の『骨田の方針』に、障害者福祉への特段の配慮を書き込んでもらうべく努力している。緊急対応が盛り込まれてことを期待している」と語っていった。

福祉新聞 2005.6.20(月)