●障害者自立支援法案 衆院厚労委で修正、可決

  所得確保策の検討追加

  付帯決議11項目「地域生活支援」に数値目標など

 障害者自立支援法案が十三日の衆議院厚生労働委員会で可決された。与党の法案修正の提案により自立支援医療の施行は来年一月に延期、障害者の所得確保にかかわる施策は検討規定を追加することになった。野党は「審議不十分」などと強く反対したが、与党議員の賛成多数で通過した。また、可決に際しては地域生活支援事業を障害福祉計画の数値目標に入れ予算を確保することなど十一項目の付帯決議が付いた。

公費医療改革 来年1月施行

 法案修正されたのは四点で、法の目的には「障害福祉サービスにかかる給付その他の支援は、障害者基本法の基本理念にのっとる」ことが明記された。また自立支援医療の施行期日は周知徹底の期間を考慮し、今年十月一日からの施行を来年一月一日の延期する。

 検討規定には、法施行後三年をめどに検討して必要な措置を講ずるものとして「障害者等」の範囲が含められた。所得保障に関しても、就労支援を含めた所得の確保にかかる施策の在り方についての規定が設けられた。

 採決に当たっては「データが乏しすぎる」(社民党)、「所得保障が間に合わないのでは」(民主党)など野党の抗議が続き、共産党は「法案を撤回すべき」ともしたが、時間不足を理由に質疑は打ち切られた。

 今国会中(八月十三日まで)に成立させるには十三日の衆院厚労委採決がタイムリミットで、今後は衆院本会議で可決されしだい、参議院での審議へと移る。

 なお、採決の前日に開かれた社会保障審議会障害者部会は、委員によって発言のスタンスが分かれた。

「都市部の障害者運動や法案の悪い点ばかりを取り上げて報道・国会審議するのは疑問。一歩でも進むにはこの法律が必要」(武田牧子・桑友理事長)始め、松友了・全日本手をつなぐ育成会常務理事、大濱眞・全国脊椎損傷者連合会副理事長、江上義盛・全国精神障害者家族会連合会専務理事らが「廃案や継続審議でなく成立を」と求めた。

 一方、安藤豊喜・全日本ろうあ連盟理事長は「議論不十分な中での採決は避けてほしい。歴史的な改革なので仕切り直しも必要ではないか」と発言した。

政省令案事項確認も

 衆議院での法案修正は四点にとどまったが、法の中身を左右する政省令案に関しては与党が六日に要望事項を厚生労働省に示しており、十三日の審議中、尾辻厚労大臣これらに応じることを確認した。

 中でも障害福祉サービスと自立支援医療の利用者負担については、「低所得者1」の住民税非課税世帯であれば世帯収入ではなく障害者本人のみの収入で判定することなどが明記されている。

 また、グループホームとケアホームの対象者が同居可能な基準設定、移動支援事業や重度障害者等包括支援などの財源確保なども確認された。

福祉新聞 2005.7.18(月)