●第21回焦点−グランドデザイン

  厚生労働省障害保健福祉部

  企画課課長補佐 土肥 克己

対象は従来通り、1割負担

 今回は、障害者にかかる公費負担医療の利用者負担について紹介します。
 従来、精神通院公費については医療に応じて一律に5%の定率負担、更生育成医療については所得に応じた応能負担となっており、障害者の間で、制度の違いにより負担軽減の仕組みが異なっているのが現状です。こうした制度間の不均衡を解消し、また障害者にかかる公費負担医療制度の費用が増大する中で、必要な医療を確保しつつ制度を維持するため、皆で費用を負担し支え合う仕組みへと見直すことが必要となっています。

 そうした視点から、障害者自立支援法案においては、障害者にかかる公費負担医療について、対象となる医療の範囲は従来通りとしながら、原則として一割定率負担をお願いすることとしています。
 その際には、低所得の方や継続的に医療費負担が発生する方には、月当たりの負担額に上限を設定することとしています。

 具体的には、住民税非課税世帯に属する方の場合には、所得に応じて月額で二千五百円、また五千円の上限を設定します。
 さらに、それ以上の所得がある場合であっても、継続的相当額の医療費負担が発生する方として一定の範囲(「重度かつ継続」)該当する場合には、所得に応じて月額で五千円、一万円または二万円の上限を設定することとしています。この「重度かつ継続」の範囲については、一定の疾病等によって対象となる場合として、精神通院医療に関しては統合失調症、躁うつ病(狭義)、難治性てんかん、育成医療・更生医療に関しては腎臓機能、小腸機能、免疫機能障害、また疾病等にかかわらず対象となる場合として、医療保険の多数該当に当たる方を予定しています。ただ、この対象となる疾病の範囲について様々な意見があることから、データ等に基づく検討を行い、結論を得たものから制度内容に反映していくこととしています。

 なお、入院時の食費標準負担については、医療保険などの整合性の観点から、負担をお願いすることとしています。
 こうした一連の見直しを通じて医療費と所得の双方に応じた公平な負担の仕組みとするとともに、制度の安定化を図っていきたいと考えています。

福祉新聞 2005.7.4(月)