●障害者自立支援法案 低所得者対策

  負担上限を半額に

  社会福祉法人減免を導入

 厚生労働省は七月二十二日、障害者自立支援法案の利用者負担の仕組みに新たな低所得者対策を設けることを障害保健福祉関係主管課長会議で説明した。定率負担への配慮措置の一つは社会福祉法人減免で、通所サービスやホームヘルプサービスを対象に月額負担上限の半額を超える分を社会福祉法人が利用者の代わりに負担。国や地方自治体が一定割合を法人へ公費助成し、実質、低所得者の負担上限は当初の案の半額に引き下げられる。

 入所施設とグループホームの利用者には個別減免があるのに対して、「通所やホームヘルプも利用者負担の上がり幅は大きい」と指摘があったことを受けて、設けられたのが社会福祉法人減免だ。

@所施設、デイサービスA二十歳未満の施設入所B長時間サービスを利用する重度障害者のホームヘルプサービス等――について「低所得1」「低所得2」に該当し一定額以上の預貯金がないなどの要件も満たした人が減免対象となる。

月額負担上限の半額を超えた部分を社会福祉法人が利用者の代わりに負担し、そのうち一定割合を公費(国が二分の一、都道府県と市町村が四分の一ずつ)助成する。本来の月額負担上限は「低所得1」で一万五千円、「低所得2」で二万四千六百円だが、減免によって実際の利用者負担はそれぞれ七千五百円、一万二千三百円に抑えられる。

地域によっては社会福祉法人が提供するサービスが揃っていないこともあるため、NPO法人でも減免措置を実施できるようにする。また、減免を実施するかどうかは法人の判断にゆだねるが、任意の取り組みではなく、制度的な運用にできないか検討する。

 なお、雇用方の就労継続支援事業には、事業主の判断によって、事業主が利用者負担を代わりに負担できる仕組みが設けられた。

世帯範囲を見直し 負担は個人単位化

 障害福祉サービスの定率負担については、利用者の属する世帯の収入が「一般」「低所得2」「低所得1」「生活保護」のどれに該当するかによって月月負担上限が設定されている。しかし、世帯収入で判断する案は「結果的に家族が負担をかぶることになる」との批判が根強い。そこで、本人と配偶者を他の世帯とは別世帯の扱いにできる特例が設けられた。

 特例は@税制上、同一世帯に属する親、きょうだい、子どもらが障害者を扶養控除の対象としていないA健康保険制度上、同一世帯に属する親、きょうだい、子どもらが被扶養者となっていない――ことが条件で、同一世帯として扱うか別世帯として扱うかは利用者が選択できるようにする。

 また、住民税非課税の「低所得1」に該当するかどうかの要件も見直された。当初の案では世帯の全員が年間八十万円以下の収入であることが要件だったが、障害者本人(障害児の保護者)の収入が年間八十万円以下であれば「低所得1」と判断することになった。低所得世帯内では支え合うにも限界があること、介護保険でも本人の収入のみで「低所得1」に相当するかどうかを判断していることを踏まえ修正した。

 なお、自立支援医療についても、利用者負担にかかわる世帯の範囲など障害福祉サービスと同じ考え方で整理される。

福祉新聞 2005.8.1(月)