●3団体の80条申請了承

  福祉運営協 運賃や2種免で議論も

 世田谷区福祉有償運送運営協議会(会長=黒田明敏・世田谷区保健福祉部保健福祉活動推進課長)が先月27日、同区役所ブライトホールで開かれ、特定非営利活動法人・ハンディキャブを走らせる会(碓井英一理事長)、特定非営利活動法人・せたがや地域ケア研究会(松倉昭二代表)――の3団体の道路運送法80条許可に基づく申請を了承した。

 同3団体が許可されれば、同区の80条許可団体は先の世田谷ミニキャブ区民の会、たつなみ会、サポート出会い――の3NPOと合わせ6団体となる。同区にはほかに、特定非営利活動法人・自立生活センターHANDS世田谷、ヒューマンハーバー世田谷、ひいらぎ移送サービス、ふれんず――の4団体があり、80条か4条限定か対応を検討している。

 同日の審議では、冒頭よりタクシー労働団体代表委員の山下晴樹・全自交東京地連書記次長が申請団体の料金について「タクシー運賃の2分の1ルール」に抵触するのでは、と疑問を呈し、NPO側と応酬があった。最終的には黒田会長が「移動困難者は現在の供給力でカバーできないほど膨大だ。NPOはもとよりタクシー会社にも参入していただきたい。運送の対価については表を修正するとして、全体ではおおむね2分の1以下をクリアしていると考える」と述べ、了承された。山下委員だけが納得がいかないとして「労働者代表委員が(運送対価に対して)反対した事実を議事録に残すように」と要求した。

 2種免許の義務化問題でも、応酬があり山下委員が「酔っぱらいを運ぶ運転代行ですら2種免だ。人命を預かる福祉輸送こそ2種免が必要では」と述べたのに対し、荻野陽一・バリアフリーまちづくりハウス代表が「どんな運転でも安全運転が当然だ。2種免でも事故は起こるし、普通免許だから危ないとはならない。市民ボランティアの移送サービスは安全という信頼があって初めて利用されている。どちらにしても2種免が義務化されるとボランティアの移送制度は崩壊する」と反論した。

東京交通新聞 2005.8.1(月)