●移動制約者の移動の権利確立のため

  STSの方向性を探すセミナー開催

 北海道移送・移動サービス連絡会(STネット北海道)の主催で、移動制約者の移動の権利を確保するために、国内の現状と課題から、STS(Special Transport Service)の方向性を探るセミナーが、十月二十二日、二十三日に開催された。

 初日は、青森県や東京都、北陸地域、北海道におけるガイドライン進捗状況や、民間救急サービスにおけるNPOの役割など報告された。

 移送サービスは、食事サービスや有償家事援助サービスと同様に障害者や高齢者など、一般の公共交通機関を単独で利用できない人(移動困難者)の移動を支援するための交通手段として用いられるサービスの一つ。

 これまで行政による障害者や高齢者施設への送迎、公共施設など循環型のサービス、初期にはボランティアを中心にドア・ツー・ドアサービスが行われてきた。

 障害者や高齢者の交通対策が福祉領域の問題として限定的に扱われてきたこと、自治体が障害者や高齢者の交通を企画、立案してこなかったこと、従来の対策が車両などデサイン中心の対策で交通システムの開発が行われなかったという問題ある。移送サービスは福祉面だけでなく、公共の補完としての位置付けが求められている。

 三月の国交省の移送サービスに関する各種ガイドラインで、道路運送法上の四条(一般旅客)と四十三条(特定旅客)の許可で指定事業者への規制緩和が行われた。また、八十条(自家用車の有償運送)許可で福祉有償運送が可能となったが、市町村や都道府県の主宰する運営協議会で移送サービス団体の活動内容や利用料等が認められなければならない。

 国の運輸行政に対応する部署が自治体に存在しないため、運営協議会について知らない市町村もある。また、都道府県が相談窓口を設置し始めた段階で、運営協議会設置は進んでいない状況だ。道内では枝幸郡歌登町が七月二十一に配置。江別市、枝幸郡中頓別町、雨竜郡秩父別町のほか、札幌市も年度内の設置を予定している。

時事ジャーナル 2004.11.1号