●学生無年金 新潟訴訟

  原告側、逆転敗訴

  東京高裁 国の責任認めず

 新潟県内の男性二人が起こした学生無年金訴訟(新潟訴訟)の控訴審判決が十五日に東京高裁であり、鬼頭季郎裁判長は、国の措置を違憲とし損害賠償を命じた一審新潟地裁の判決を取り消し、請求をすべて棄却した。原告側は上告する方針。

 新潟訴訟は、二十歳を過ぎた学生の国民年金加入が任意だった時代に、未加入のまま事故で重度の障害を負った新潟市の遁所直樹さん(42)と三条市の阿部正剛さん(38)が、国を相手に障害年金不支給決定の取り消しと一人当たり二千万円の損害賠償を求めたもの。

 一審の新潟地裁は昨年十月二十八日に「国は遅くとも、一九八〇年前後には学生の無年金問題を認識し得た」とし、不支給状態が続いたことを国の過失と認定。不支給決定は退けたものの、国の損害賠償責任を認め、一人当たり七百万円の支払いを命じた。国と原告双方は判決を不服とし、控訴していた。

 控訴審判決で鬼頭裁判長は今年三月の東京訴訟控訴審判決と同様「学生らを国民年金の強制適用から除外していたのは、国の財政事情などから合理性があり、憲法に違反する不合理な差別とは認められない」などと新潟地裁の判断を否定。一審判決を取り消した。

 判決を受け、新潟訴訟原告団は「今年三月の東京高裁判決と同様に、二十年の長期にわたって学生無年金障害者を放置してきた国の無為無策を追認し、法の番人たる司法の役割を放棄したに等しい判決で到底受け入れることはできない」などとする声明を発表。上告する意思を示した。

 なお、全国各地で提訴された学生無年金訴訟で原告側敗訴の判決は、東京高裁、京都・札幌・岡山各地裁の判決に続き五例目となった。

福祉新聞 2005.9.26(月)