●05年版厚労白書 社会保障の地域差を分析

  介護給付費、格差是正を

  障害サービスは“利用の公平性”重視

 政府は七月二十九日の閣議で二〇〇五年版厚生労働白書「地域とともに支えるこれからの社会保障」を了承し、公表した。

 白書は社会保障の各分野における地域差を分析し、是正すべきものかどうかを判断。その結果、地域差を四つのカテゴリーに分類している。

 第一のカテゴリーは「介護保険の上乗せ・横出しサービス」「雇用政策における地方自治体の取り組み」の地域差。これについては地域のニーズを適切に反映し、地域の選択や結果により生じる『あるべき地域差』であり『地域の多様性』ととらえるべき」とした。

 一方、「国民が必要とする一定水準のサービスを受けたくても受けることができない地域があれば、格差として是正すべき」という第二のカテゴリーに入ったのは「障害福祉サービスの提供体制」「小児救急医療や無医地区の存在などの医療提供体制」地域差だ。

 障害福祉サービスの利用状況の地域差は、市町村が支援費の支給決定をする際に全国共通の基準がないことなどが理由であるとし、「在宅サービスを中心に水準の底上げを図り、客観的な基準に基づいた公平な利用を図るべき」と“利用の公平性”を重視した。

 同じ「格差」でも、意味合いが異なるのは「医療費」「介護給付費」の地域差だ。この第三のカテゴリーについては「必要以上のサービス提供や非効率なサービス提供等による地域差が、当該地域にのみならず全国民に影響を与えるなど負担の公平などの観点から影響が出るほどである場合は、格差として是正すべき」と“負担の公平性”を重視した。

 とりわけ、介護給付費の地域差については、高齢化の状況や世帯構成の違いに起因するものは受容すべきとする一方、地域間の施設サービス偏在の問題、要介護認定の公平性・中立性の問題を要因とするものは是正すべきとした。

 第四のカテゴリーは、全国的な底上げを目標とし、「全国特殊出生率」「失業率」の地域差で、「地域差を放置したまま推進することは困難であることから、国と地方自治体が連携・協力して水準の低い地域への対応を図るべき」とした。

 なお、これら四分類に入らなかった生活保護の地域差については「地域経済や家族構成などの影響を受けるものであるが、地方自治体の実施体制の問題や取り組み状況もその一因と考えられる」と指摘した。

 以上を踏まえ、国と地方自治体の役割分担については「現在の状況が維持されるものではなく、事務の同化・定着の状況や社会・経済情勢などの変化を踏まえて、適宜見直しが行われるべき」とした。

福祉新聞 2005.8.8(月)