●ハンドル型電動車いす 利用拒否は「差別」

  大阪法務局 JR東海に改善勧告

 JR東海が列車や駅でのハンドル型電動車いすの利用を一律に拒否しているのは重大な人権侵害にあたるとして、大阪法務局は16日、差別的な取り扱いをやめて利用を認めるよう同社に勧告した、と発表した。速やかな改善を求めている。

 被害を訴えていたのは、大阪市中央区の絵本塾主宰山名勝さん(62)、昨年2月、新大阪駅内にあるJR東海の駅長室を訪ねようとしたところ、構内に入れてもらえなかった。同法務局が法務省人権推護局と合同で調査していた。

 ハンドル型電動車いすはスクーターに似た形をしており、自分で運転して移動できる。手元のスティックで操作するタイプの電動車いすより回転半径が大きい。大阪法務局によると、JR東海は狭い車内や駅構内で移動するのは困難などの理由で利用を認めていないという。

 同法務局は障害者基本法に基づき障害者が障害を持たない人と同等に生活する社会が求められていると指摘し、JR東海の対応を「不当な差別的取り扱い」判断した。国土交通省によると、市町村から給付されてハンドル型を利用する障害者は全国で約6千人という。

 山名さんは2年前に病気で下半身が不自由となった。発表を受けて大阪市北区の大阪司法記者クラブで記者会見し、「移動の自由は基本的な人権だ。車いすのデザインが違うから認めないというのはおかしい」と話した。JR東海は「勧告の内容をよく検討させていただきたい」とのコメントを出した。

朝日新聞 2004.12.17(金)