●自立支援法案 障害8団体が初の意見陳述

  衆院厚労委 問題山積、修正強く要望

 議員も「当事者の声」後押し

 国会で審議中の障害自立支援法案は、十三日の衆議院厚生労働委員会でも厳しい追及が続いた。障害者団体が大規模なフォーラムとデモ行進を前日に行ったことから、各議員がその訴えを取り上げた。また十七日の質疑では、参考人として障害者八団体の意見陳述が初めて実現。両日とも話題は「応益負担に疑問」にとどよらず、医療費の負担増や就労支援策の遅れなど多くの問題に及んだ。

「利用負担は本人に限定を」

 十七日の衆議院厚生労働委員会で意見陳述したのは、日本身体障害者団体連合会、日本盲人会連合、DPI日本会議、全日本手つなぐ育成会、全国精神障害者家族会連合会、全日本ろうあ連盟、全国脊髄損傷者連合会、日本障害者協議会−のいわゆる「障害者八団体」。それぞれ個別給付に伴う国家予算の義務的経費化、障害種別の総合化など法案の大枠は評価したが、検討を望む項目を目いっぱい列挙した。

 要望の中でも「移動介護は裁量的経費の地域生活支援事業ではなく個別給付とすべき(笹川吉彦・日盲連会長、尾上浩二・DPI事務局長他)、「精神障害者は特に利用できるサービスが少ない。医療費負担は5%を継持してほしい」小松正泰・全家連理事長)、「医療モデルではなくICFを受けた障害程度区分の判定が必要」(大濱眞・脊損連副理事長)などは重なる意見だ。

 また、グランドデザインや法案が短期間で提出されたために当事者は議論の時間が少なく、「不安が募り危機感となっている」(藤井克徳・JD常務理事)、「具体的な施策がなければ就労支援は理念倒れになる」(松友了・育成会常務理事)といった見方も共通していた。

 焦点の応益負担導入について「経過措置など知恵を絞ってほしい」(森祐司・日身連事務局長)、「やむを得ないなら、せめて当面3%からスタートするなど所得状況を見て検討できないか」(安藤豊喜・ろうあ連盟理事長)などの意見もあるが、同一生計者に利用者負担を求める政府案に対しては、全員が「本人に限定すべき」と訴えた。

 これらの意見はかねて要望書として厚生労働大臣や各政党へ伝えてきたものだが、国会で障害者らが陳述したのは初めてのことだ。

 なお、十三日の同委員会では、各党の議員が前日の障害者団体のアピール行動に触れ発言。最も早く今年十月の施行が予定されている「自立支援医療」に関する質疑が目立った。

 「精神障害者にとって通院公費負担制度は地域で暮らす命綱。負担増で外来やデイケアへ行けなくなり、症状の悪化や入院、自殺さえあるかもしれない」(民主党・山井和則議員)、「育成医療や精神医療を自立支援法案にぶちこんで一割負担にすることは乱暴だ」(社民党・阿部知子議員などの指摘が続いている。

 厚生労働省は「他制度との整合性」を理由としているが、障害者団体からは「障害者の生活の実態との整合性がない」という声も上がっている。

 福祉新聞 2005.5.23(月)