●介護現場のヘルパー

  介護福祉士へシフト

  基礎研修500時間

 介護現場で働くホームヘルパーを介護福祉士にシフトしていくため、厚生労働省は介護職員基礎研修を五百時間と定め、そのうち実習はこれまでの三十時間から五倍近い百四十時間にする方針で作業を本格化させている。介護福祉士に対してもキャリアアップを図る四段階の専門研修体制を構築、カリキュラム内容を拡充する方針だ。研修事業は十八年度からスタートさせる。

「介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する研究会」(委員長=堀田力さわやか福祉財団理事長)が中間報告をまとめ、二十六日に開かれた全国介護保険・老人保健事業担当課長会議で説明した。

 資格取得が容易なヘルパー二級で就業可能となっている現状を改め、国家資格の介護福祉士を標準任用資格とすると明記。介護福祉士資格を持たない現任者レベルアップ、介護福祉士取得を支援する「介護職員基礎研修」では、利用者の尊厳を支え、生活全体を支援するケアが実行できるよう、科目構成、教育方法、時間数を全面的に見直す。

 具体的には、コミュニケーションや認知症ケア、医療連携等に必要な知識・技術、精神、社会関係への支援を基礎とした地域ケアへのソーシャルワーク的関わりなどを拡充させるカリキュラムにしていく。

 演習・実技と講義を一体的に展開するため、一科目の研修は三十時間。ヘルパー実務経験で受講時間を分け、一年以上経験のある一級ヘルパーは六十時間、二級ヘルパーは百五十時間の受講を義務づける。

 現在ヘルパーは、仕事をしながら基礎研修を受けられる仕組みとする。

 既に介護福祉士資格を持つ現任者は、専門的、継続的に資質向上に努めていけるよう@ファーストステップ研修A技能研修Bセカンドステップ研修C介護統括責任者研修――に体系化。

 @は二百時間で、百時間程度は通信や一年程度の期間設定で受講しやすくする。Aは認知症、医療ニーズの高い人のケア、介護予防、障害別ケア、地域ケア展開基礎など、テーマ別に学ぶ。Bはスーパーバイザー、地域密着型の管理者などを志向。Cは法人・事業所全体の責任を担う職員を育成、試験で認定する。

 事業所に対しては今後、受講負担軽減支援策、有資格者比率向上に向けた基準・報酬の評価などを行っていく。

介護新聞 2005.9.29(木)