●東京民間救急コールセンター

  127台登録し滑り出し順調

  搬送案内、月間100件増

 東京消防庁は救急車の出動回数を抑えるため、タクシーなどの救急搬送車両を一元配車する「東京民間救急コールセンター」を4月に発足、民間との連携を深めている。この3ヵ月の滑り出し順調で、昨年10月以降の試行段階に比べ、各月の搬送案内件数は100件程度アップ。大阪など同様の悩みを抱える自治体は多く、東京の成り行きは試金石となる。需要が減退しているタクシー業界にとっては、参画次第で販路拡大の後ろ盾になりそうだ。

 同コールセンターは東京消防庁所管財団法人の東京救急協会(千代田区)内に設立。会員資格は、道路運送法事業許可(青ナンバー福祉仕様車)取得のうえ、救急活動の「認定基準」(質機材の装備や従事者の応急研修修了など)をクリアし、消防署から認定を受けた事業者。

 6月1日現在、46社50事業所(ステーション)、登録台数計127台。一般タクシーのほか患者限定事業者や葬祭業などが参画。車体に共通の「認定マーク」(直径9センチ)を張り、業務員は「適任証」を携行。センターは24時間受け付け体制。各社の稼働状況を1時間単位でコンピューター管理。注文にはオペレーターが民間搬送の仕組みを説明し、配車可能な最寄りの事業所を紹介。料金はまちまちなため「1時間6000円ほど」などと標準額を示し、割増・加算などは当事者間で決めてもらう。

 5月の受け付け件数は415件(搬送案内294件、問い合わせ121件)。搬送案内のうち契約成立は238件(81.7%)。4,5両月集計で、利用目的の最多は転院の245件(48.1%)。通院・入院・退院は同水準。当日搬送は253件で当日以外と半々。契約不成立の理由は「料金が高い」が圧倒的に多い。

 同協会の柏木修一事務局長(コールセンター長)は「多くの都民に民間搬送の存在が知られていない。緊急性や重傷の具合など救急車の適正な使い方を広報し、民間の件数を伸ばしたい」と意気込む、一方で「利用者から、多少の介助があれば普通の車でも乗り込めるとの要望がある」と車種の拡大に期待した。

 都内近郊の救急車の出動は年々急増。命にかかわる人を救えなくなる危険にさらされている。地方都市でも同様の傾向が表れてきており「119番」と振り分る民間の共同配車センター構想は全国的な課題。総務省消防庁も先月、「救急搬送業務の民間活用検討会」を立ち上げ、コールセンターの制度化に着手している。

東京交通新聞 2005.7.11(月)